占星術、リロケーションの手法を考察してみる

2020年8月28日金曜日

ご質問回答 西洋占星術講座 占星術コラム

 こちらではご無沙汰です。

占星術に関するご質問をいただきましたがマニアックな話なので、プライベートのほうではなく、ここで回答することにします。


ご質問と、短めの回答


Q.リロケーションの手法についてどう思いますか? …当たると言ってる方もいるので、先生のご意見をお聞きしたいです。


A.「ネイタルホロスコープは出生時点での現況(げんきょう)図」という基本に照らしますと、引っ越しすれば根本から個性まで変わると考えるのは理屈が通らないのではないか? と思います。

ただ未来予測的に、移住した結果を占うために参考にするのは良いでしょう。


もう少し詳しく。リロケーション手法とは何か

最近は新しい手法が次々と出て来て、年寄りにはついていけません。笑

それで“リロケーションの手法”なるものも私は把握していませんでした。すみません。

調べてみました。


“リロケーション手法”とは

これはたとえば海外などへ移住することで、あたかもその地で生まれたかのようにネイタルホロスコープが上書きされる、と考える占星術手法のようです。

こちらの方の説明が分かりやすかったです。


⇒『リロケーションの基本を語りまくる』より


“リロケーション図とは、あたかもその土地で生まれたかのように
出生図を再作成したホロスコープです。


リロケーション図を見ると、

出生地と違う場所に住んだ場合に

どのような特徴を持つのか?

がわかります。

住む場所が変わると、

ホロスコープ(リロケーション図)が変わる。

すると、人生に具体的な変化が起こる。

凄くないですか。

驚きです。(☆Д☆)”


なるほど、それが本当なら確かに凄いし驚きです!


「生まれた時からの運命を自分の手で作り替えられる」、こんな魔法のような手法にワクワクしてしまう人は多いのではないかと思います。

運命を変えたいと思う人は多いですから、これは流行るでしょう。


風水や奇門遁甲などの東洋占術に近いですね。

あるいは最近また流行っているスピリチュアル、“引き寄せ”。

(おそらく“引き寄せ”ビジネスの考え方が西洋占星術に影響を与えて生まれた手法なのではないか、と推測します)


こういう手法はキラキラしていて、前向きなイメージで人気を得るのであまり対立したくないのですが、西洋占星術の理論から述べるなら私は「誤」と思います。

バッサリ切り捨てて申し訳ない。


実は前世記憶を思い出すという体験をした者として語っても、「誤」です。

さらにスピリチュアルジャンルの本を読んでいれば、大勢の体験者たちの話に照らし合わせてやはり「誤」だということが分かるでしょう。


もちろん、引っ越しをすれば行動が変わるということはあり得ると思います。それはあくまでも表面的な行動の変化であって、根本からキャラクターが変わるということではありませんが。

住む土地によって得られる結果の大小が異なることもあるでしょう。本来の自分のキャラクターを活かせる土地に生きているか否か、で変わるだけのこと。


例:自国では積極的だった人が海外へ移住して無口になってしまう


これは友人から見れば

「お前、外国の雰囲気に呑まれて大人しくなってるだけだろ! 性格変わったなんて気のせい、気のせい」

と笑われるだけの話かもしれません。

しばらく住んで慣れてくればやはり本来の自分が“漏れ”出てしまうものです。自分では分からないほど無意識に。

無意識のレベルでのキャラクターこそ、ASCの変わり難き性質です。「三つ子の魂、百まで」は正しい。それどころか来世に至るまで変わらない基礎と言えます。


ネイタル・ホロスコープとは何か? もう一度、基礎からおさらい


私は決して上のブロガーさんたちリロケーション推進派に絶対反対するわけではありませんので、どうか怒らないでください。

これは「ネイタル・ホロスコープとは何か」に関する考え方の違い、読み取りの角度の違いだと言えます。


ホロスコープとは何重にも情報が詰めこまれたチップのようなものですから、読み方に合わせた解を得ることができます。

上のブロガーさんたちは、たとえばホラリー占星術のように未来読みツールとしてホロスコープを眺めているのでしょう。

私は、もう少し広い視野にて前世・今世・来世の基礎情報としてネイタル・ホロスコープを観ている者です。


ここでもう一度、詳しくご説明しておきますと。


私が鑑定経験とともに自分自身の前世体験や、死後世界を思い出した人々の話を総合して得た結論は、

ネイタル・ホロスコープは出生時の現況(げんきょう)書+今世の計画書

というものです。


そもそも何故、ネイタル・ホロスコープにこのような情報が現れるのかと言うと、出生時に最適な時空のポイントが選ばれるからです。

魂はその人生を生きるに相応(ふさわ)しい時空ポイントからしか、地上へ生まれ出ることはできません。


実例で述べますと……

たとえば私は今世でアセンダント水瓶座で、自他ともに“変人”と認める(笑)水瓶座らしい人間です。

たまたま私が日本で生まれたからこういう性格になったのではありません。

自分に相応しいポイントとして今の時代・今の地域を選んで生まれて来た、というだけのことです。

つまり環境によってゼロから個性が作られたのではない。先に個性が有った

何故こう言い切れるかと言うと、私は前世でも今と同じく“水瓶座らしい”キャラクターの人間であった、という実証があるからです。


※現世と前世の性格分析比較は→プライベートブログで行っています(要パスワード記事となります。読み方は→こちら


だからもし私が今の時代で中国に生まれていたとしたら、一時間後の19時頃になったことでしょう。

アルゼンチンで生まれるとしたら、12時間後となったはず。


皆さんも同様です。

おそらく出生点のルールは宇宙的な法則によるので動かせません。


こうして基礎から考えていけば、たかが移住したくらいで根本からネイタル・ホロスコープを上書きできる、という発想が理論的に矛盾していることがお分かりでしょう。


種と土地の関係

もう少し単純な例で分かりやすくするために。

我々の個性を植物の種にたとえてみます。


ネイタル・ホロスコープは、種の性質を表した説明書きのようなものです。

そこには将来どのような花を咲かせる種なのか、花びらの色や形、丈や香り、咲く季節はいつか……といった説明が書かれています。

それはもちろん絶対的な運命ではありません。植える場所によって、その種が芽吹くかどうか、花を咲かせるまで育つかどうかといった運命が変わります。植える場所が間違っていれば枯れてしまうことさえあります。

しかし種の本質は変わりません。どんな土地に植えても咲く花の種類は同じ。

ヒマワリの種はバラにはなれず、バラの種もまたヒマワリにはなれないのです。その代わりどちらも種の個性を活かせば、美しい花を咲かせることができます。


人間も同様で、外国へ移住して環境を変えたからといって、種の個性が初めから書き換えられるということはありません。

スピリチュアルのうち「引き寄せ法則」を主張している人々は、歴史を書き換えれば過去から本当に変わってしまうと信じていて、せっせと歴史捏造しています。

しかし残念ながら過去の真実は変わらないのです。

自分たちに都合の悪い罪を無かったことにし、嘘の話で悪を善に・善を悪に書き換えようとしても、勝手に過去の歴史を改ざんすることは不可能です。


この点、誤りのないように覚えておいてください。

ご利益が欲しくて“引き寄せ”の布教を信じすぎると、妙な宗教や思想セミナーに絡めとられてしまうこともあります。

それは現世的な意味でマイナスですし、魂の視点から見ても成長の機会を失ったうえ犯罪のカルマを背負うことになり、激しくマイナスとなります。


まずは在るがままを受け止めることこそ大切。

その「在るがまま」を知ることこそ、西洋占星術の意義です。


ホロスコープの運命は計画書に過ぎない

私がこのように「出生点は動かせない」という話をすると、自由な運命を望んでいる人々は反射的に怒り出します。

「お前は私に運命を押し付ける気か! この運命原理主義者め!

私は絶対に運命なんかに負けない!

どこまでも運命に抗う。神に抵抗して、絶対に運命を変えてやる!!」

などと仰って。

(これは筆者が現実に受けた批判ママです。占いを依頼されて鑑定しただけなのにこの言われよう。ここまでの反運命論者なら占いなど始めから興味を持つべきではない、と思いましたが…)


でも私は何度も書いているように、「どのような不幸も変えることはできないから受け入れろ」と押し付けるガチガチの運命論者ではありません。

“論者ではない”と言うよりは、現実に計画は絶対ではないからです。


生まれる前に立てた運命計画は本人の意思が強ければ変えることもできます。

※〔注意〕運命と個性は別です。上の種のたとえをもう一度ご確認ください


自殺だって可能か不可能かと言われたら、可能。

ただ安易に変えてしまうと後々――来世以降に相応の苦労をする、というだけのことです。


【参考記事】「幸せ」って何ですか? 因果応報、カルマの受け取りも自分で選んだ道


皆さん何故か「運命」をネガティブなものとだけ考えてらっしゃいますが、運命の中には良いことも含まれるのですよ。


何もかも、悪いだけの運命というものは無い。

一見悪いように見えて振り返れば幸福の源だったと分かる出来事もあります。


現代人は短気で、すぐに目に見える結果を求め過ぎるから運命を敵視してしまう。

人生は3分で食べられるファストフードではありません。じっくり噛み締めてようやく味が染み出てくる、そんな上質な恵みです。


たとえば

万事塞翁が馬(ばんじ・さいおう・が・うま)

という諺などを学んでみてください。これは壮大な宇宙法則の真実です。


運命は味方。

神々(先輩霊のオーディエンス)はあなたを不幸にするために運命を押し付けたのではない。

まずは今この時点に生まれたことを

「ありがたし、有難し」

と感謝すること。つまり、ネイタルを受け入れること。

ようやくそこからスタートです。


そのうえで、抗うべき敵がいるなら勇気を出して戦ってください。

身の回りの壁を破り、国境を越えて一歩踏み出してください。

実はその抵抗、チャレンジこそが運命計画書に組み込まれているかもしれないのですから。


現在、移住するかどうか悩まれている方が占星術で未来を読むには

長々と書いてきましたが、曖昧で道徳的な表現だったので分かりづらいところもあったかもしれません。


最後に

「今現在、移住するかどうか悩んでいる」

という方への回答と想定して、もう少し占星術的に書いてみます。


おそらく、リロケーション手法はホラリー占星術(時間・場所を仮定して未来の結果を予測する)のようになら使えるはずです。

つまり短期間の未来予測と割り切って、移住先での運命として読んでみるといいでしょう。


あくまでもメインとなるのは自分自身のネイタル・ホロスコープです。

ネイタルは小手先の作り替えをせずに、きちんと生まれた場所、国で計算して出してください。


何事も

“己を知る”

ことが第一となります。

周辺情報を集めるのは軸となる自分を知ってから。

自分自身を軸として周りとの関係性を見るなら、どのような手法も役に立ちます。反対に軸の情報がブレると何も読めなくなります。



それと、移住する場合はリロケーションの前に使える占星術手法が多々あると思います。

たとえば、自分のネイタル個性と移住先文化の相性を見ることです。

大まかに言って


  • アクが強く創造性の高い人は、日本のような抑制的な国よりも個人主義の欧米向き
  • 集団行動を重視する社会的な人は、個人主義の欧米よりも日本など東アジア向き


などのことが考えられます。

もっと占星術的に考えるなら、


  • 移住先の国の原始図を出して自分のネイタルと重ね、“相性”を読む
  • 移住時のトランジットを読む

……等


リロケーションよりもまずはこのような基礎が先でしょう。

そのうえでリロケーション等も参考にすれば良いのでは。

(上ブログのプロ占星術師さんはきっとそうされていることでしょう)

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