始めから読む
ここまで長々とドラゴンヘッド&テイルについて考えてきました。
鑑定データをベースとして、「現代西洋占星術での読み方はどうやら間違っているらしい」というお話をしてきたのですが、読み方はともかくドラゴンヘッド&テイルが過去世に関わる感受点であることは確かなようです。
では古来、「前世を表す」感受点だと言われており、当サイトでも以前から「前世である」と主張してきた月は何であるのか。
“ドラゴンヘッドと月、どちらが私の前世? いったい、どちらを見ればいいの?”
そう疑問に思われた方は多いと思います。
疑問を解くためこのページでは月を見る場合と、ドラゴンヘッドを見る場合の読み方の違いについてご説明していきます。
前世と過去世は、イコールとは限らない
まず知っていただきたいのは、「前世」と「過去世」は完全に同じ意味の言葉ではないということです。魂はたった一回きり転生するわけではありません。どなたの魂も膨大な数の転生を繰り返しています。
その数ある転生のなかで、一つ前の転生だけを「前世」と呼びます。
前世を含む全ての転生の総称が、「過去世」です。
(この用語の使い方はあくまでも当サイト上の定義なのですが、一般的にもこう表現すれば分かりやすいはずです)
そのため人によって、転生記憶は一つ前の「前世」であったり、何回前か分からない遥か昔の「過去世」であったりします。
この点、必ず頭に入れておいてください。
「前世」と「過去世」の概念をごちゃごちゃに考えると混乱してしまい、ホロスコープのリーディングも正しく行うことができないでしょう。
※時間について: 魂の世界に時間はないので、この地上世界の時系列で「過去」「未来」が決まるとは限りません。地上における未来の人生が「過去世」である場合もあると思います。または、「過去世」と「今世」が同時に生まれ、同時代を生きていることもあり得ます。ただその魂の辿ってきた道筋として、カルマのきっかけに近いほうの転生を「過去世」、結果に近いほうの転生を「今世」または「来世」と呼ぶことができます。
月は一つ前の過去世である
魂の辿ってきた道筋のなかで、今世に最も近い「前」の転生が「前世」。この前世で送った人生が、どうやら出生ホロスコープ上の月という感受点に表現されているようです。
⇒月(≒宿)で前世を占うページはこちら
当サイトで
「月が一つ前の過去世を表している」
と主張しているのは、筆者自身の裏付けがあるから。
筆者は確実に一つ前だという認識のある記憶を持っており、これが月および宿解釈と驚異的に合致していた。
しかもその解釈が、自分の今世の幼少期をもほぼ正確に当てていたので、月が前世を表しているという考えに間違いないと思われました。
つまりたった一件のデータで述べているだけなのですが、鑑定データ上、他の方々も宿(≒月サイン)解釈と今世幼少期の性格は一致することが裏付けられています。
※根本的に選択する暦が間違っていたり、宿計算上の誤差がある人は除きます。参考⇒宿曜占星術が当たらない人へ
このことから、やはり月が前世を表していると考えて間違いないと思われます。
これは理論上の話です。
転生とは別人に変身することではなく、投げたボールがそのまま転がり続けるように同じ流れに乗って再び生まれるだけのことです(前世の地位や財産などの物質的な持ち物は失いますが)。「死ねば人生リセットできる。性格が激変して素晴らしい人格になれる」などと夢見ている人が多いのですが、それは転生について重大な勘違いをしています。残念ながら、輪廻転生も地上人生とルールは同じ。自分で努力もしないのに、ただ死ぬだけでスーパーマンに変身できる、などという都合の良いことはありません。
したがって月が幼少期を表しているなら、それは前世晩年の生き方が投影されていると考えるのが妥当なわけです。
ドラゴンヘッドは今世と対応する過去世を表す
いっぽうドラゴンヘッドは一つ前とは限りません。たくさんある過去世のうち、今世と対応する重要な過去世を示しているようです。
前ページで書いた通り、ヘッドはカルマ原因となった過去世。テイルはカルマ解消のために今世で行うべきこと。ネイタルホロスコープには、ヘッド&テイルで債務原因と支払い方法がセットで表されているということになります。親切ですね。
実は「前世の記憶を持っている」と仰る方の多くが、一つ前ではなくもっと昔の過去世を思い出しています。
何故なら、今世と対応する過去世の記憶を思い出さなければ無意味だからです。
多くの方にとって今と対応する転生は前世ではなく、さらに昔の過去世です。魂は一つのカルマについて、何度も繰り返し生まれ変わって解消しています。これは時系列に順番通り解消されていくのではなく、その人生テーマに合ったカルマが提示されることになります。だから今の人生カルマに対応する過去世は、予想外に離れた過去であることがほとんどです。
だから当サイトで月(≒宿)の解釈を読んでも、ご自分の過去世記憶と完全に合わないと感じられる方がいるはずと思います。
そのような方の場合は、ドラゴンヘッドで読んだほうが記憶と照合しやすくなるはずです。
ちなみに今世と対になる過去世の、具体的な出来事はドラゴンヘッドのサビアンシンボルで読むことが可能です。
一度ごとの度数で解釈できるサビアンシンボルを読むと、短文で的確に過去世の出来事が表現されていることに驚かされます。
過去世の記憶を持つ人はシンボルの詩文だけで「ああ、これはあのことだ」と分かりますから、背筋の寒さを覚えることでしょう。
(ただし詩文は隠喩ですから、記憶のない人が詩文から具体的な出来事を推測するのは、なかなか難しいかもしれません)
これと違ってドラゴンヘッドのサイン(星座)解釈は大雑把なもの。
だから該当の過去世だけではなく、前世を含む他の過去世についても当てはまる箇所が多いはず。
このことはたいていの魂が、全ての転生で似たような癖を持ち越し、似たような失敗を繰り返していることを意味しています。
たとえば私もそうです。
ドラゴンヘッドで表されているカルマは遥か過去に原因があるのですが、サイン解釈に表れている戒めは、一つ前の人生にも当てはまります。長いこと自分の魂の個性は変わっていないし、同じ失敗を繰り返しているのだなと分かります。反省しきりです。
記憶がない方のリーディング
以上の「記憶がある者」のデータを当てはめていけば、記憶がない方の過去世リーディングもある程度実現できるはず。まとめておくと、
●宿、月 → 前世と今世の幼少期
●ドラゴンヘッドのサビアンシンボル → 今世と対応する過去世。カルマの原因となった具体的な出来事
●ドラゴンヘッドのサイン解釈 → 今世でも引きずっているかもしれない魂の癖。改善方法はテイルのサイン解釈を参考にすること
となります。
転生記憶がなくても、たいていの人に宿(≒月)の解釈は役立つでしょう。幼少期から持つ性格の欠点診断や改善策として。
また、ヘッドのサイン解釈は無意識的に痛いポイントとなるはずです。ヘッドへ向かうと同じ失敗を繰り返すことになりますので、地位や名誉を得ても魂としては不幸になります。テイルのほうへ向かえば欠点を補うことができ、バランスの取れた人生となります。
もしヘッドのサイン解釈にピンと来ず、「テイルサインのほうが今の自分に近い」と感じる方がいるなら、その方は既に順調にカルマ解消のための人生を送られている最中なのだと言えます。つまり、その方の人生の方向性は間違っていないことになります。ただしテイルのほうへ力を注ぎ過ぎている場合は再びバランスが崩れてしまいますから、程々にするよう心がけが必要かと思います。
具体例
以上の考えを導き出した例として、筆者のホロスコープ情報と記憶をご提供しています。筆者についてご存知の方はこちらの記事をどうぞ。⇒プライベートブログの記事 『前世、月とドラゴンヘッドへの表れ』
吉野圭 著 https://astrology.kslabo.work/