少しだけ基礎に戻って、西洋占星術で読む相性についてお話しします。
西洋占星術での“相性”は友情やビジネスパートナーまで、全ての人間関係について読むことが可能です。
そのなかでも、今回は特にご質問をいただくことの多い恋愛・結婚対象について考えてみます。
性別と恋愛対象の定義
まずは言葉の定義から。
性は生まれ持った肉体だけで決まるものではありません。
自分が男であるか女であるかという性別の自認は人それぞれ。
恋愛対象も異性だったり、同性だったり、人それぞれだと思います。
ここでは西洋占星術の伝統にしたがって「男性」「女性」と表現しますが、それはあくまでも「男性的な性質」「女性的な性質」というほどの意味です。
ご自分が男性だという認識があり、恋愛対象が女性なら、男性の視点から読んでみてください(心の性別が女性で男性を愛する方はその逆)。
あなたの生まれ持った「理想の異性」を表す星は、肉体とは逆かもしれませんが心にしたがって読むべきです。占星術は、魂を読む技術・学問なのですから。
【補足】 LGBTQ+について筆者の考え
理想の相手は太陽星座を見るべき? それともASC?
では、相性診断について以前にいただいたご質問を引用します。
(回答が大変遅くなり申し訳ありません!)
好きな男性のタイプは火星の星座、好きな女性のタイプは金星の星座を見ると言われてますが、これは相手の太陽星座の事を言うのでしょうか?
例えば私の火星は〇△座なので太陽星座〇△座の男性が好きなタイプと言う事でしょうか?
それとも本当はASCだけど出生時間がわからない人の為に無理矢理太陽にしているとか?
私は相性診断もお互いのASCを見た方がいいと思っているのですが。。。
>好きな男性のタイプは火星の星座、好きな女性のタイプは金星の星座を見る
はい、 占星術のテキストには必ずそのように書かれていますね。
この話は「自分にとって理想の異性(恋愛対象)」という意味だと思います。生まれつきその星座の要素を持つタイプに魅力を感じるだろう、という意味です。
これは男女ともお互いに欠けている要素を相手に求めるはず、との考えから来ています。
古代の半身伝説ですね。
【半身伝説】 もともと人は二者で一つだったが、神様が二つに分けた(または落雷の事故で二つに分かれた)。このため人は自分の失った半身としての片割れを永久的に探し回っている。
人は誰も完璧なものではなく、欠けているところがあるからこそ補う相手を求めるもの。そんな現実からも、「遠い過去に欠けた半身を探している」という伝説はあながち間違っていないかも、と思えます。
占星術で火星は男性性を、金星は女性性を表しています。
ですから男性は「自分の欠け」として金星を、女性も「自分の欠け」として火星を見るのだということになります。
こうして、たとえば女性ならご自身の出生ホロスコープのうち火星星座が「理想の男性タイプ」となりやすいのだ、という答えになるわけです。
理想のタイプは自分視点
火星・金星は「理想の異性タイプ」 というだけに過ぎませんから、現実に相性が良いかどうかという話とは違います。自分の理想に近ければ恋愛が長続きすることは確かですが、実際の恋愛生活が楽しいものになることまでは保証できないのです。
なかには不幸になるとわかっているのに、どういうわけかいつも暴力的な男性に惹かれてしまう女性もいます。そのような方は火星が情熱的な位置にあったり、90度などの厳しいアスペクトを持っている場合があります。
なお、自分の理想タイプに問題がある方はそれを自覚することで、恋愛の方向性が変わる可能性あり。火星が表す理想タイプは定まった運命の相手というわけではないので、意識することで変わる可能性があるのです。
相手のホロスコープのどこを見るか
次に、相手のどこを見るかです。
古典的なテキスト通りに考えるなら、理想のタイプとして占う場合は相手の出生ホロスコープの火星または金星の星座を見ます。
火星も金星も性格としては表れづらい惑星なのですが、ふとした瞬間に「男性性」「女性性」を表している、とされます。――あくまでもテキスト通りなら。
現実を言えば、「理想のタイプ」として好きになるのは自分から見えている相手の性格です。
社会人で男性の相手なら太陽星座が前面に出ていることが多いため、太陽星座の性格を好きになりやすいでしょう。
女性が相手の場合は月星座が前面に出ていることが多いため、月星座の性格を好きになりやすいはず。
(ちなみに浅く人間を見るだけの人は12室の偏見的なイメージしか分かりません。さすがにその程度の浅い付き合いで恋愛する人はいないと思うので、ここでは職場などで交流した後であることを前提にお話ししています)
ASC星座は、心を許した相手でなければ出ないプライベートの本性です。だからしばらく付き合ってASC星座の本性を知り、「全然イメージと違う人だった!」と思うことがよくあるわけです。
理想の結婚相手の読み方
>本当はASCだけど出生時間がわからない人の為に無理矢理太陽にしている
恋愛の相性診断では確かにそう言えますね。ただ実は、女性から見た結婚相手としては正しい見方です。
恋愛ではなく「理想の結婚相手」を占うとき、女性の場合は出生ホロスコープの太陽を見ます。(相手を見るときも太陽)
いっぽう男性にとっての理想の結婚相手は月星座で占います。
だから結果的に、表向き見えている性格を好きになって結婚するのは正しいのかもしれません。
私は個人的には、ASC星座の本性まで好きになれるほど深くお付き合いしてから結婚すべきだと思っていますが……。なかなか難しいのが現実と思います。
相性という考え方
上で書いた通り、ここまではあくまでも自分視点からの「理想の相手」。
これは相性という考え方とは少し異なります。
相性というものは、好き嫌いだけではなく
・フィーリングが合っていて分かり合える
・お互いの人生を好転させ、成長をうながす
・お互いに弱いところを補い合う
といった観点から読むべきものです。
もちろん恋愛や結婚では「好き」が第一、大前提ですので、理想=相性として読んでも間違いではないのですが。
末永く人生を伴に歩くパートナーだったら、人生を好転させる相手のほうが良いでしょう。
この意味での相性診断は両者の出生ホロスコープを突き合わせ、アスペクト(惑星同士の角度)を読みます。
やはりASC星座同士のアスペクトは重要になります。月星座同士も重要です。
結婚後にフィーリングが合うかどうかは、このASC・月などプライベートに関わる星座同士の相性しだい。
星座同士、相性の基礎
一般に同じエレメントの星座同士だと気が合うので友達のような関係になることが多いですが、競争心でぶつかったり、お互いの成長が少ないので相性としては最良ではないとされます。
違うエレメント同士では
火×風
水×地
の星座同士はお互い刺激を与え合い高め合うので最も良く、
風×地
火×水
などの星座同士は感性が合わないから別れやすいなどと言われています。ただ、欠けているところを補い合うという意味では逆に善い相性となり得るでしょう。
宿命の相手
レアケースで、二者のホロスコープ全体にて特殊な複合アスペクトを形成する場合があります。このような二者はお互いを補い合う、運命の相手同士と言えるかもしれません。
月や太陽の合、ドラゴンヘッドの合などもドラマティックな運命をもたらすはず。前世からの因縁(良い意味でも悪い意味でも)があるかもしれませんね。
……以下略です。
とにかく相性診断を本気で行うとしたらケースバイケースだから難しい。
実はこのような相性読みは両者のアスペクトを全て分析しなければならないので、高度な技術が必要ですし鑑定にも時間がかかります。
たぶん一般の占星術師は避けると思います。簡単に安価で請け負う人は、あまり誠実ではないと思われます。
(私もボランティアでは無理なのでお受けできません。責任も伴いますし)
と、長く雑然と書いてしまいましたが
「占星術での相性診断は、本気でやるなら実は難しい」
ということだけでも伝われば幸いです。
大切なのは、雑誌や占いメディアの一記事で簡単に「相性が悪い」と言われただけで悲観しないこと。 危険な相手なら深入りは禁物ですが、性格が正反対の相手との恋愛も自分を成長させてくれることがあると考えてみてください。