ここのところ書いている〔水瓶座時代は共産社会主義の時代とはならない!〕というお話の補足として、現代で言うところの「共産社会主義」の始祖、カール・マルクスの出生ホロスコープを読んでみます。
マルクス、2種類の出生ホロスコープ
世の中で知られているマルクスのネイタルチャートには大きく分けて、公開された出生情報に基づくものと、占星術家たちが推測したものとの2種類があるようです。
1.出生情報に基づくホロスコープ
ASTRO DATA BANKによれば、オンラインで公開されていた出生情報に「午前2時出生」と記載されているとのこと。
この情報通りAM2:00で設定するとこのようなホロスコープになります。
第一印象で私が感じたのは、「薄い!」ということでした。世界を席巻して大量虐殺を惹き起こした思想の始祖としては印象が薄過ぎる。
惑星もパーソナルな側(左側)に寄っていて、1室2室3室が強く、どちらかと言えば家庭や身近な友人たちを重視する人の図。
個人性を無視してグローバルな社会思想を掲げたマルクスの印象とは正反対です。
おそらく世界中の占星術師が私と同じことを思ったのでしょう、マルクスには他の出生時間の説が出されているようです。
2.AM8:00の場合
第一印象では、こちらのほうが圧倒で“らしい”と思えますね。
ASCサビアンシンボルは蟹座12度、「メッセージを持った赤ん坊をあやす中国人の女」。
偉大なメッセージを温めている人物を表していますが、そのメッセージは他の人には理解されず“思い込みの激しい人”と見られる可能性大。…確かにマルクスのステレオタイプなイメージと合っています。
サビアンシンボルで「中国」とは精神性のことなのですが、現代の共産中国のイメージも加味されてこの時間で推測されたのでしょう。
蟹座は全体主義を象徴するサインでもあります。(蟹座は共同体や組織の結束を高めるサインのため、マンデーンでは全体主義を表す場合がある)
全体主義のベース思想を作ったマルクスにはASC蟹座生まれが相応しいだろう、と占星術師なら考えますね。
さらにAM7時~8時台のホロスコープであれば、惑星が上半分に偏ります。
このようなホロスコープを持つ人は公的な仕事に就き、偉大な功績を残す人物となる場合があります。ただし家庭のことを顧みず公の仕事へ突き進むなど、偏った人生となりやすい面があります。個人性を無視したマルクスとイメージが合っています。
カルミネート土星も、いかにも地獄の神を崇拝したマルクスらしいです。
ただ、こちらの図では“いかにも”感が強過ぎるのは否めません。
出生証明書のチャートを詳しく眺める
異説はまた時間のあるときに読むこととして、今回は出生証明書のほう、AM2:00設定の図を詳しく眺めてみます。
基礎性格 ASC水瓶座
この時間に設定するとマルクスのアセンダントは水瓶座ということになります。
2020年以降の水瓶座時代を「共産社会主義の時代としたくてたまらない」者たちの思惑を考えると、また陰謀による出生証明書偽造ではないのか…?と疑いたくなりますが、
・合理主義
・冷徹
・斬新
・天才的
と評されているマルクスの著作を考えれば、確かに彼のベース性格はASC水瓶座で合っているのかなと思います。
ただ水瓶座はヒューマニズムを表すサイン。
個人ネイタルでこのサインが影響する場合は人類愛が強い性格となりやすいと言えます。
人類愛というのは、ちょっとマルクスのイメージとはかけ離れてますね……。
実はマルクスも始めの頃ヒューマニズムを標榜していたのですが※、彼の人類愛は合理主義に偏り過ぎて本来の目的から逸れてしまったのかもしれません。
※共産主義に目覚めるまでの若い頃、マルクスは民主主義者を名乗っており(当時の独特な)ヒューマニズムを掲げていた
アセンダントのサビアンシンボルは
水瓶座24度『情熱に背を向けて自分の経験により教えている男』。
冷静に情報を伝えようとする理性的な人柄を表しています。
感情を抜き去って論理的に語ることができるところは長所ですが、感情・本能を過剰に「悪」とみなして躾けよう(支配しよう)とする面があります。
後に全ての感情を悪と呼び、家族への情を見せたり泣いたりした者を処刑した文化大革命なども彷彿とさせます。
それら社会主義国の地獄はマルクスが直接に指示したわけではありませんが、マルクスの著作が「プログラム」として実行されたものだとは言えます。
彼の組んだプログラムには、このシンボルのネガティブな面が織り込まれたようです。
1室が土星・冥王星に傷付けられている
不可解なのは、 1室の大半を魚座が占めているというのにマルクスには同情心の欠片も無かったことです。
彼の著作は冷徹で情が皆無と言われています。現実のマルクスも同情心など持ち合わせない人物だったようです。
通常、革命を叫ぶ者たちは虐げられている人々を救いたくて立ち上がるもの。
しかしマルクスはただ革命を望むばかりで、その担い手については「誰でも良かった」と思っていた跡があります。
プロレタリアート(労働者)革命を叫んだのもそれが最も旧体制破壊を成功させやすかったからであって、貧しい暮らしに苦しむ労働者を救いたかったからではなかったといいます。
私生活で家族に対する酷い仕打ちは現代なら精神DVで訴えられるレベルでした。 妻はマルクスの八つ当たりの被害者となり、ストレスで病気となったそう。
友人たちの前でも「不機嫌で不公平」な暴れん坊だったとのことで、魚座だけではなく水瓶座らしい本来の性質からもかけ離れています。
どの角度から眺めてもマルクスは同情心に篤い人格者だったとは言えません。
筆者がプライベートブログで明かしているように、ASCが水瓶座であっても1室・魚座インターセプトだと感情が強く、涙もろい人物となりやすい… らしい。
マルクスも1室・魚座インターセプトですが、我々とは反対に同情心が弱く涙腺が乾いていたのは何故なのでしょうか?
出生時間が正しいという前提でこの矛盾の謎を読み解くなら、鍵は魚座に在泊する土星・冥王星でしょう。
1室は幼少期を表すパーソナルな室。
ここに土星が入ると本来の個性をのびのび発揮するタイプではなくなります。多くの人は抑制的な人物として成長しますが、幼少期のネガティブな体験を乗り越えられなかった場合、人格障碍などを抱えることもあります。
さらにマルクスのネイタルでは感情を表す魚座を土星と冥王星が傷付けています。これでは、もともと同情心があったとしても発揮しづらいでしょう。人にもよりますが、マルクスの場合は同情心が鬱屈した別の感情へ変わっていたのではないかと読めます。
追記:1室の冥王星もその自我パワーの強さから人格破綻を起こすことがあります。悪く出れば他人の批判を一切容れない、暴力的で独裁的なタイプとなる場合もあり。
もちろん1室に土星や冥王星があっても、困難をバネとしてかえって人格を磨き大人物となるケースはあるので決めつけないでください。
マルクスはどうやら1室の困難が人格を傷付けてしまったケースです。
実際のマルクスの人生と照らし合わせてみると、ユダヤ人だった彼の両親が生活のためにキリスト教へ改宗、民族性も棄てたという過去がありました。
マルクスは幼い頃に根本のアイデンティティを傷つけられた、または奪われたと感じたのではないでしょうか?
「本当は自分の共同体へ愛着を持っていたのに踏みにじられた」
それ故に愛の裏返しで、
「共同体を憎み、破壊したいという衝動を抱くようになった」
のではないかと読めます。
もしこの分析が正しいなら、マルクスが1室の水瓶座・魚座を素直に発揮できなかったのも無理はないと言えます。
また、惑星がパーソナル側へ傾いたホロスコープを持ちながら共同体の破壊者として生きたことも辻褄が合います。
2室牡牛座の凄まじい強さ
次に特筆すべきは、2室の牡牛座に集まる惑星の強さです。
月と太陽の合は目を引きます。この二つの惑星が木星トライン、土星セクスタイルで支援・拡大されている。
さらにノースノード(ドラゴンヘッド)が加わるという特異さ。月とドラゴンヘッド合です。
2室は財産を表す室。
そのうえ牡牛座も蓄財・所有に関わるサインです。
後に経済思想書『資本論』を著す人物として相応しい惑星配置だと思います。
このことだけでも、やはり出生時間AM2:00で正しいと言えそうです。
こんなあまりにも強い2室を見れば、彼の興味関心が1室の個人性、水瓶座ヒューマニズム・精神性・平等などではなく、「財産」「所有」と言った物質的な欲求に向けられていたことが分かります。
太陽のサビアンシンボルは
牡牛座14度「男と女のそばでとぐろを巻く蛇」。
社会などの環境が自己をがんじがらめにする、というシンボルです。
自己を縛る環境を打開するために彼は、社会を破壊するプログラムを発明することになります。
(ここはマルクスの現実人生に合わせて読んでいますので、このシンボルをお持ちの方は自分に当てはめて読まないようご注意を。このシンボルをポジティブに読む場合、「環境を受け止めることで前に進める」という意味になります。マルクスは受け止めずに戦ったため、さらにがんじがらめとなり苦しんだようです)
ノースノードのサビアンシンボルは
牡牛座9度「飾られたクリスマスツリー」。
なんと!
「幸福を手に入れるためには人はみな公平であるべきだという偽の平等精神に振り回されず、まずは自分に必要だと思われるものを確保する姿勢を割り切って実践する力を身につけます。それはエゴの育成ですが、残念なエゴです(松村解釈)」だそうです。
…まさに偽の平等精神で世界を汚染した人にこのシンボルが出ているのは失笑。
ノースノードは解消すべき過去生のカルマです。どうやら過去生のマルクスはエゴの赴くまま、不公平に生きたらしい。おそらくその反省が偽の平等主義へ走らせたのでしょう。
なおクリスマスツリーからは、階級(ヒエラルキー)もイメージされます。
いっぽう、カルマを解消する具体的な行動指針としてのサウスノードは
蠍座9度『歯科の仕事』。
既存のルールを破壊しても必要なことを成し遂げようとする意志を表します。これは凄まじく実行できたと言えるのではないでしょうか?
彼は見事に人類の文化と精神を破壊するプログラムを編み出しました。破壊するだけで治療の能力がないプログラム。おかげでマルクス主義に侵された国の人々の歯はボロボロになり、食べ物さえ食べられなくなって死ぬ寸前です。
【関連記事】ドラゴンヘッドとテイルの読み方(筆者流)
射手座MCの天王星カルミネート 革命衝動に突き動かされたか
ホロスコープの頂点に輝くカルミネート惑星は、天王星。言うまでもなく急進的な革命の星です。
現実のマルクスは「ただ革命がしたかっただけ。担い手は誰でも良かった」と考えていた人。
射手座MCで、しかも天王星カルミネートであれば革命の衝動にかられても仕方ありません。
しかし「革命のために革命を計画する」とは許されない行い。革命の理由も担い手も何でも良いと思っていた人が、中身のない革命衝動を覆い隠すために張りぼての平等思想で飾り立てたのは人類に対する犯罪でした。
まとめ 山羊座時代と共振した革命家
前に書いた通り、地の準備時代とともに生まれたマルクス。
階級闘争と唯物思想を基礎とする彼の共産主義は、山羊座時代を投影した「山羊座の申し子」と言える思想でした。
これはマルクスが山羊座の木星を持って生まれたことと関係が深いと思います。
木星は拡大の惑星です。もし自分の生きている時代と木星サインが合えば、木星を拡大鏡のように使って時代と共振しやすいと言えるでしょう。
マルクスはASC水瓶座ですが、1室が押さえつけられていた彼は自己の純粋な個性で生きることができませんでした。
そのため水瓶座の合理的な目は、ただ木星という拡大鏡を通して山羊座時代(1842年~)を分析するだけとなったわけです。
その卓越した分析力が時代を写し取った文章は、後々不幸にも彼の革命衝動のために使役され、社会を破壊するプログラムとして死後も暴走し続けることになります。
最後にマルクスの死後イメージ、周りにもたらしたものを表すDSCサビアンシンボルを見てみます。
獅子座24度『身だしなみの整っていない男』。
一心不乱に何かに集中するあまり他のことがおろそかになってしまう者の姿。
本来このシンボルには「大切なことに力を集中する」というポジティブな意味があるのですが、 マルクスの死後イメージとして眺めるとむしろ「空虚なことに目を奪われて大切なことを忘れてしまった男」と読めます。
豊かな文化も芸術も棄て去ってしまった共産国。周囲からの批判も無視して国民を殺し続ける傍若無人さ。国民が飢えて死に続けている、荒廃して寒々とした風景……などのイメージも浮かんできます。
こうしてDSCまで読めば、マルクスの出生時間はAM2:00で正しいのだなと感じます。
当初「薄い!」と感じた印象も確かに合っていて、思想の薄っぺらさをよく反映していると思いました。おそらく未熟な魂だったのでしょう。
【別館での関連話】プライベート館にて、この記事について解説。善悪は行動しだい、1室土星・冥王星の人も前向きに行動してください