宿曜占星術が当たらない理由1

2018年9月24日月曜日

宿曜占星術とは



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暦の選択が間違っている

宿曜占星術が当たらないまず第一の理由として、選択した暦が解釈と一致していないことです。

宿曜占星術に使用すべき暦には様々な考えがあります。
最近で有力らしいのは、太陽暦で実際の天体における月星座を計算して、宿曜盤の通りに無理やり宿を当てはめるというもの。
たとえば天体の月星座が「水瓶座」だったら、下図の通り強制的に「室」「危」「虚」へ分類してしまうといったやり方です。
参照→図 宿曜盤(宿曜盤の外円、宮を主として出します)

現実の星座に合わせているのだから一見正しそうにも見えますが、私の実感では、このやり方ですと宿解釈と鑑定対象者の性格が大きく異なってしまうことが多いようです。
これは宿曜盤と現実の天体に“ズレ”があることが原因なのではないかと思われます。


宿曜盤の正体

西洋占星術的な知識で宿解釈を見ると、どうやら宿曜盤外円に記入されている宮は西洋占星術の天体とは合致していません。
(つまり、宿の解釈が外円の十二星座解釈と一致していない

始め計算上の問題のせいだと思っていました。
※中国系の暦は月の朔望、ギリシャ系の月計算は惑星の位置。インドは白道周期。これらを同一視することがそもそも不可能だし計算も狂う。
でも、どうもそういうことではないらしい。
このズレは計算上で修正出来るような機械的で正確なものではなくて、もっとアナログでアバウトな、昔の人の都合のせいではないかと思いました。

あくまでも西洋占星術の解釈だけから推測すると、宿曜盤のもともとの宿は星座に対して概ね一つ分ほどズレており、なかには大きく戻って二つ前の星座の解釈が入っているらしき宿さえあります。
こうして分類していくと12星座に約3宿(正確には2.25宿)ずつというきれいな形では分類されず、宮が伸びたり縮んだり、重なったりのいびつな占星術盤が出来ます。

何故このようなことになったのか。
ギリシャ系の占星術が伝来した時点で、インドでは既に独自の27日の暦が使われていたそうです。
ということは以下の想像が出来ます。
1)占星術を導入しようとした際に、インドの人たちは土着の暦に合わせて先に27日ごとで宿を分けて名を付けた。
2)それから後で、毎月一宿ごとに月が通過する星座全ての解釈をミックスして当てはめていった。

この、2番目の手順の「星座全て」が宿曜のポイントです。
宿曜占星術が西洋占星術を上回る脅威の的中率を見せる秘密は、実はこの「日ごと星座ぜんぶミックス技」にあると私は考えています。

その話は後でするとして先に宿曜盤の難点をお話ししますと。
月の運行はとても速く一日のうちに多くは二つ分以上の星座を通過します。しかも毎月同じ日に同じ星座を通過するとは限りませんから、宿によっては星座が二つも三つも当てはまることになり得ます。

★例として簡単な【斗宿】と月運行の対応表を挙げました

だいたい日ごとの暦の外円に宮を置くこと自体、月の運行を示した表としてはあり得ない形です。
もし正確に表を描くのだとしたら、逆に宿を外円、宮を内円として宿ごとに入る星座全て(月によって異なる星座も全て)を細かく列挙しておくべきではないか……と思います。
まあそれだと巨大で煩雑な円となるので図柄として現実的ではなく、だから無理やり円形にすること自体が間違っているわけです。正確さを追求するなら素直に年間の日別表にするべきでしょう。

このような不可能を押し通して無理に描こうとした円形の宿曜盤は、宮に関してはほぼ架空のものと言わざるを得ません。
後世の人たちがきれいな図柄とするために、何気なく感覚で「だいたいこの辺だろう」と一星座に三つごと分けていったものと推測されます。

つまり何が言いたいかというと、宿曜盤の宮は「かつて西洋占星術を参考にして解釈しましたよ」ということを示すだけの象徴画、単なるイラストに過ぎないということです。
したがって、太陽暦の計算で月星座を出してから宿曜盤で無理に宿を出すというのは手順も初期と違ううえに、「架空のイラスト」に基準を置くわけですから解釈が大きく狂って当然と言えます。

解釈と暦を一致させるべし

上の通り考えれば、外円の宮の十二星座的な解釈を取り入れることも誤りと分かります。
西洋占星術に明るい人なら原典解釈から後付けで宮を推測していくことも可能だと思いますが、西洋占星術を知らない人は宿曜盤の宮をいっそ無視したほうが正しい解釈となるはずです。

宿はあくまでも、古代インド人がやった手順通りに「宿から先に出す」のが正しい。
そして架空の宮のイラストに引きずられずに、「原典の解釈にこだわる」。
つまり古代の人の言いつけを守って伝統的なやり方で出すべきということです。
なにしろ古代の人はそのつもりで解釈を後世に伝えているわけですから。

古代インド人が「本来は現実の天体を基準とすべき」と経典に書いたのだとすると、それは「西洋占星術と同じやり方で十二星座を算出して、西洋占星術で解釈せよ」という意味だったのではないかと思います。
もしどうしても太陽暦で現実の月運行を計算したいなら、古代インド人がやった通りに背景の十二星座を直接に読み取るべきではないでしょうか。

なお「昔ながらの暦で占う」と言っている場合でも二種類あります。
28宿を一日ごと順に宿を割り当てるものと(旧暦計算のサイトはほとんどこちら)、27宿を月ごとに調整を加えて当てはめたものです。

本来の宿曜歴は27宿です。これは中国の完全循環歴とも異なりますので、順番通り宿が割り当てられるのではなく、二日にわたって同じ宿が入るなど独特の計算をします。
上に書いた通り「解釈と暦を一致させる」ということで占いとしては原典の暦に従うのが正しいと思います。そのほうが私の個人的な実感としても解釈が当たりやすいようです。

暦の選択についての考え方は宿曜占星術をやられている方それぞれです。
それぞれの方が強固な主張をお持ちだと思います。
だから私は他の方の主張を否定するつもりはありませんが、このサイトでは上記の考えに基づき27日周期の暦を採用しています。

そもそも占いは、それが生まれた当時の解釈と暦とを一致させるのが最も筋が通っていると思います。
解釈だけそのままに暦だけ変えてしまうのは、ちぐはぐなやり方であり解釈がはずれても当然です。
どうしても別の暦を選びたいなら、暦に合わせて解釈も調整するべきでしょう。
(正確に調整することが可能ならば、の話)

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